夜が明け、琵琶湖沖に立つ大鳥居の奥に朝日が現れた。低い雲の下、東の空を緋(ひ)色に染める。波打つ湖面。きらめく光の筋が対岸から湖を渡り、鳥居をくぐり抜けた。
滋賀県高島市鵜川の白鬚神社。湖岸の境内から80メートルほど南東沖に朱塗りの神門がそびえる。日の出が1年で最も南に寄る12月下旬の冬至前後は、鳥居の正面に近い位置に太陽が昇る。この時季ならではの光景を見に、早朝から大勢の人々が詰めかける。
湖国の水辺を代表する景観は昭和に生まれた。初代の鳥居は1937(昭和12)年の建立。琵琶湖総合開発に伴い、81(同56)年にさらに沖合の現在地に建て替えられた。
平成に入り、2015年に神社が日本遺産に認定され、国内外から来訪者が急増した。
令和となって迎えた初めての正月。寒空の下、参拝者が拝殿前に行列をなす。手を合わせて祈る老若男女。その背後では大鳥居が西日を浴びる。時代を超え、孤高の姿が威容を誇る。 |