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近江商人の負の歴史「アイヌ民族を劣悪条件で労働」 自費出版
2019年9月21日
 滋賀県高島市の近江商人研究家駒井正一さん(69)=安曇川町北船木=が、新著「アイヌ民族の戦い−知られざるアイヌ民族の戦いの真相」を自費出版した。江戸時代、北海道に進出した近江商人らに、生活を奪われたアイヌの人々の苦難に焦点を当てている。

 駒井さんは元中学校教諭。近江商人だった先祖の足跡を探ろうと、1981年から研究を始めた。近江商人とアイヌ民族の関わりについては、94年ごろから調べ始め、2005年には、幕末期に北海道で漁業経営をしていた近江商人が、アイヌ民族を雇用したことを裏付ける当時の約定証文を、道立図書館北方資料室(江別市)で発見した。

 これらの文献を基に、近江商人が道内での漁業経営を通じて富を増やした一方で、アイヌの人々を低賃金で雇い、不平等な物々交換をしていた実態を「近江商人の漁業経営」(14年刊)にまとめた。

 本書はその姉妹編といえ、全編6章からなる。1、2章では、アイヌの人たちが16世紀ごろまで厳しい自然の中でも自由な狩猟生活を送っていたことを紹介。本州からの和人が道内に本格的に進出し始めた17世紀以降は、商権を得た近江商人らに、アイヌの男性らが劣悪な条件下で労働を強いられたり、アイヌ女性が和人の労働者から暴行を受けたりしたことを記した。

 3〜5章では、江戸前期、収奪を繰り返す和人に蜂起したアイヌ民族が、和睦を誘った松前藩によって虐殺された「シャクシャインの戦い」や、アイヌ民族を強制移住させアイヌ語を禁じた明治時代以降の差別的な政策について触れた。駒井さんは「近江商人たちが経済面だけでなく、人権的にもアイヌの人々を苦しめた歴史の一面についても知ってほしい」と話す。
 B5判。千円(税込み)
京都新聞


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