すっきりとした味わいが、盛夏の渇いた喉にぴったりだ。比良山系のふもとに位置する大津市南比良で里山活性化に取り組んでいる「比良里山クラブ」が手がける赤シソジュース「比良ペリラ」は、商品化を始めて今年で10年目。この時期になると、県内外から注文が届く人気商品になった。
■葉の鮮度が重要
緑が広がる田園地帯の一角にある赤シソの畑が目に留まる。栽培しているのは約1500株。同クラブが育てていた野菜がイノシシなどの獣害にあったことから、獣が好まない赤シソの栽培を手掛けた。葉をジュースにしてメンバーで楽しんでいたところ、口コミで評判が広がった。「ペリラ」はシソの学名から取った。
3月に土づくりや堆肥入れをし、種をまく。収穫を始めるのは、毎年7月ごろ。お茶刈り機で株の上の部分だけを刈り取る。こうした方法を取るのは、刈り取った後の枝の部分から新芽が顔を出し、再び収穫できるからだ。刈った後、畑一帯にはさわやかなシソの香りが広がる。8月いっぱいまで作業が続く。
収穫した葉は、約10人のメンバーたちが手作業で選別する。有機栽培のため、葉に付いた虫などを取り除き、太めの茎もちぎる。上質なジュースを作るために、葉の鮮度が重要だ。一度に大量ではなく、少しずつ刈り取って袋詰めする。赤シソのエキスを抽出しレモン果汁を加えるなどしてジュースにするが、加工する工場へ輸送するまでは葉を冷蔵庫で低温保存し、品質を保持する。
栽培を始めたころから今の生産量を確保できていたわけではない。商品化した1年目は瓶のボトル換算で350本の生産にとどまった。しかし今では4500本にのぼる。選別した葉の重さだけで400キロになる。
■定着に手応え
当初は、栽培のノウハウが十分でなかったり、株の根元から刈り取る収穫方法だったりしたため、十分な量を確保できなかった。肥料の種類や量などを試行錯誤し、他の畑を見学するなどの工夫を重ね、現在の生産量につながった。9月には東京・日本橋にある滋賀県のアンテナショップ「ここ滋賀」で試飲即売会を開く予定だ。
同クラブの三浦美香代表(58)は「炭酸水はもちろん、アルコールで割ってもヨーグルトにかけてもおいしいですよ」と勧める。できあがった「比良ペリラ」は、今月末ごろから県内の道の駅や琵琶湖ホテル、西武大津店などで販売するという。
三浦さんは「徐々に比良のブランドとして定着してきた」と手応えを感じているが、「メンバーの高齢化が進んでいるので、次の10年のために栽培スキルをバトンタッチできる若い人が現れてほしい」と話す。門戸は広く、「手伝ってくれる人は今からでも大歓迎やで」。 |