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江若鉄道で唯一現存、三角屋根の近江今津駅舎解体へ
2018年3月3日
 滋賀県の湖西地域を走り、およそ半世紀前に廃止された江若(こうじゃく)鉄道で、唯一現存している近江今津駅舎(高島市今津町住吉2丁目)が、近く解体されることが、2日までに分かった。老朽化と跡地活用が理由で、所有しているJA今津町は、早ければ今春にも工事に着手したい考え。交通の要衝として栄えたまちのシンボルの一つだけに、住民や鉄道ファンの間に惜別の声が広がりそうだ。

 同駅舎は江若鉄道が今津に延伸される前月の1930(昭和5)年12月に完成した、三角屋根が印象的な木造2階建てのモダン建築だ。69(同44)年の廃止後、今津町農協が引き取り、農協の旅行センターや、テナントの飲食店などが営業していた。現在はJAが経営するスーパーの倉庫として使われている。内部は改装されているものの、外見はおおむね往事の面影をとどめている。

 建設から約90年が過ぎ、老朽化が激しいことから、JAは数年前から解体を検討してきた。「台風や大雪で屋根瓦がはがれ落ちることも考えられ、安全面で課題がある。これ以上の保存は難しい」と説明する。跡地は当面、駐車場とする方針。

 市教育委員会は昨年末、「指定文化財ではないが、地域にとって貴重な遺構」として、駅舎の保存を文書で求めた。市教委文化財課は「今も鉄道ファンから場所などの問い合わせがあるが、所有者に保存の考えがない以上、市としてできることには限界がある」と残念がる。

 地元の観光ボランティア「今津ガイド勉強会」事務局の吉本眞世さん(73)は「今津のまちを案内する際は、旧今津郵便局などのヴォーリズ建築と共に、必ずコースに組み入れていた。個人的にも江若時代の思い出もあり、なくなるのはさみしい」と話す。
京都新聞


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