滋賀県教育委員会が教員のリクルートに力を注いでいる。湖国は子どもの割合が全国で2番目に高く、ベテラン教員の大量退職も重なり、優秀な人材確保が差し迫った課題。教育長が大学に出向いて学生にPRしたり、採用試験の日程を変えたりして受験倍率の低い小学校教員を中心に学生らの取り込みを図っている。
9日、県教委は滋賀大教育学部(大津市)で教員志望の4年生ら149人を対象に説明会を開いた。はじめに青木洋教育長が県の学習船「うみのこ」に代表される独自の自然体験学習などを紹介、「皆さんの若い力と情熱で子どもの成長を助けてほしい」と訴えた。
この後、同大学OBの県教委幹部らが学校現場での体験談やジョークを交えて県の教育方針を説明。若手が多く、活躍しやすい環境がある点を強調した。福岡県出身の4年津田夏希さん(21)は「堅い話だけではなかったので温かみを感じた。自分が働くイメージができ、滋賀で教員になる気持ちが強まった」と話す。
県教委によると、県の公立学校の教員は20代と50代が多い。5月上旬に国がまとめた人口推計では、滋賀県は14歳以下の子どもの数が14・5%と全国2位で当面は多くの教員が必要になる。2017年度の採用人数も、過去10年でそれぞれ最多だった15、16年度の499人と同程度を見込む。
半面、受験倍率の低さが悩みの種だ。特に小学校はここ3年、県教委が一つの目安としてきた「3倍」を切っており、優れた人材を確保するうえで志願者数アップが命題となっている。
採用説明会への教育長の「出張」はその一環で前年から始まった。滋賀大に次いで採用実績の多い京都教育大と佛教大には教育次長が出向き、近隣の35大学などは採用担当者が説明会を開いてアピールしている。
県教委によると、目標の「3倍」に届く鍵は他府県出身の学生をいかに取り込むかだという。今回から競合相手の京都や大阪の府教委などと試験日をずらすことにしたほか、募集リーフレットを復活させ、岩手県と島根県出身の若手教員からのメッセージを載せた。
6日から採用試験の出願を受け付けており、まずまずの滑り出しという。青木教育長は「奇策はない。待っていてもだめで、地道に滋賀県を訴えていくしかない」と力を込める。 |