滋賀県守山市が11月から、湖上交通を活用したユニークな観光振興策に乗り出す。ビワイチ(琵琶湖一周サイクリング)を楽しむ人らが途中で利用できる「漁船タクシー」の実証実験を市独自で初めて行うほか、外国人観光客を呼び込むため、大津、草津市と連携して観光船の定期便を試験運航し、各市の観光名所を結ぶツアーを企画する。旅の途中で琵琶湖上を移動することで、守山や滋賀の魅力をより体感してもらう狙いだ。
国の地方創生先行型の交付金申請に伴う事業提案。漁船タクシーは、漁船を有効活用し、ビワイチで訪れた観光客にサイクリングだけでなく湖上からの眺めも楽しんでもらおうと企画した。市地域振興課によると、県内では高島市で花見シーズンに漁船を観光利用している例はあるが、「タクシー」としての活用は初の試みだという。
試行として今年11月の土日に実施。木浜漁港(守山市)から大津港(大津市)、彦根港(彦根市)、北舟木港(高島市)の3ルートを計画中で、守山漁業協同組合から市が漁船2隻を借り上げ、予約制で人と自転車を運ぶ(有料)。自転車の故障や体力の問題などでサイクリングを中断し、自転車を運んで移動する場合なども想定。「漁船タクシーを利用することで、サイクリング初心者にも気軽にビワイチに挑戦してもらえれば」と同課は話す。
一方、観光船のツアーは大津市での宿泊が増えている台湾からの観光客をターゲットに企画。春節(旧正月)などで多くの来日が見込める来年2から3月の土日祝日の計18日間、定期運航のないピエリ守山港(守山市)と大津市の雄琴温泉港や大津港、草津市の烏丸半島港などを結ぶ観光船の定期便を試験的に運航し、各港で降りて周辺の観光スポットを訪れてもらう。
事業費は漁船タクシーが約800万円、外国人観光客誘致策は3600万円(守山市分)。いずれも国の交付金支給を受けて着手する。同課は「湖上交通を活用して守山観光の魅力をアップするとともに、守山をビワイチの中心地としてアピールしていきたい」としている。 |