大津市は、高齢化が進む北部の旧志賀町エリアで、10月2日から「デマンド型乗合タクシー」の試験運行を始める。自宅から病院やスーパーなど目的地に送り届け、運転ができなくなった高齢者の暮らしを支えるのが狙い。
市交通部によると7000世帯が暮らす志賀地域は山手に団地が点在し、住民の高齢化が目立っている。大部分の地域でバスが通っておらず、道の高低差がある所が多いため公共交通の整備を求める声が上がっていた。
同地域では、2011年6月から、NPO「志賀あしの会」が乗合タクシーを週4回運行している。登録利用者は60人ほど。ボランティア5人による運転で本数が限られるため、これ以上増やすのは難しいという。事務局の林正敏さん(67)は「市が運営することで、より多くの人を受け入れられる」と期待する。
運行は、火・水・金曜の週3日、午前8時から午後6時。JR北小松駅から和邇駅間の6エリアを5往復、計10便が走る。料金は1エリア内300円で、エリアを越えるごとに加算される仕組み。
利用希望者は、市役所と小松、木戸、和邇支所にある登録申請書を提出。利用の1週間前から前日午後5時までに電話で予約する。
県内では、すでに長浜や彦根など8市4町で運行しているが、自宅まで迎えにいく例は珍しいという。試験運行は2年間で、大津市地域公共交通活性化協議会が近江タクシーに委託。最終的に収益率が25%以下の場合は廃止となる。担当者は「ニーズを把握し、本格運行に向け制度を整えたい」と話した。 |