遣隋使の小野妹子(いもこ)ら小野氏ゆかりの小野神社(大津市小野)に伝わる大般若(はんにゃ)経に、奈良時代に書写された経典が2巻あることが、大津市歴史博物館の調べで分かった。専門家は「奈良時代の経典の新発見は珍しい」といい、20日から同博物館で始まったミニ企画展で初公開している。
同博物館では、小野神社に伝来する大般若経全600巻を預かり、2年前から実態調査を進めている。
これまでに調べ終えた392巻の大半は、平安から鎌倉時代に書写された経典だった。しかし355巻と268巻は、太くどっしりとした字体や56〜57センチという紙の幅、紙のすき方から、奈良時代後期の書と判明したという。同館の鯨井清隆学芸員(29)は「(600巻のうち)なくした部分を新たに買ったり譲り受けたりしたものが、さらに古い奈良時代のものだったのだろう」と話す。
企画展では、奈良時代の経典を含む4巻のほか、同神社で毎年9月に行われる大般若会(え)で本尊として用いられる仏画「釈迦(しゃか)三尊十六善神図」も展示され、大般若経をインドから持ち帰った玄奘(げんじょう)三蔵らが描かれている。3月1日まで。月曜と2月12日は休館。有料。 |