滋賀県高島市の扇骨や扇子の生産業者らでつくる県扇子工業協同組合が、県工業技術総合センター(栗東市)と協力し新デザインの扇子の試作開発を進めている。安価な外国産に押される中、時代のニーズに応える品で巻き返しを図る狙いだ。26、27両日に同市安曇川町の道の駅藤樹の里あどがわ内体験工房で催す「扇子まつり」で試作品を初披露する。
同町を中心とする高島の扇骨は300年の伝統があり国内シェア90%を誇る。しかし近年、外国産の増加や長く続いた不況の影響などで年間出荷本数はピーク時の半分以下の約300万本まで落ち込んでいるという。
こうした状況を受け組合では、伝統を守るだけでなく新しいデザインを導入することで若い層など顧客の幅を広げたいと、ノウハウのある県工業技術総合センターに協力を依頼した。
「洋服に合う華やかなデザイン」「近江の扇子と分かり土産にもなる」といったコンセプトを組合がセンターに伝え完成した試作品は計24種類。
県花のシャクナゲ、瀬田のシジミ、守山のホタルの絵などをあしらったり、琵琶湖からイメージした水の滴に表情豊かな顔を描いたデザインも。また、模様の中に惑星の絵が隠れていたり、表はゴルフ場コースで裏は大きなゴルフボールを描いた品など、遊び心のある扇子がそろう。
扇子まつりでの展示で来場者に好みの扇子を選んでもらい、上位10点を実際に商品化する方針。組合専務理事の村田高弘さん(55)は「本年度の後半は高島らしさにこだわったデザインの試作開発も進めたい」と話す。
会場では、伝統品の展示即売や絵付け体験なども行う。両日とも午前10時〜午後5時。入場無料。道の駅藤樹の里あどがわTEL0740(32)8460。 |