大津市の龍谷大社会学部の学生でつくる「北船路(ふなじ)米づくり研究会」が、市内の酒造会社や農家と連携し、新しい地酒を生み出した。学生たちは瓶のラベルのデザインも手掛け、「お酒を通じて酒米を育てた村のすばらしさも知ってほしい」とPRしている。
研究会は、脇田健一教授のゼミで学ぶ3、4年生が農家と消費者をつなぎ、安全な食を届ける関係づくりを目指して2010年に結成、現在は27人が所属する。大津市八屋戸の北船路地区で活動し、琵琶湖を見渡せる比良山系の棚田で米を栽培。市内の商店街では、北船路の農家が育てた野菜を販売する。
同市中央1丁目の酒造会社「平井商店」が2年前、研究会が北船路で催したイベントに参加したのをきっかけに、北船路の米を使った酒造りを希望。研究会は、地元の農事組合法人「北船路福谷の郷」も交えて準備を進めた。同法人は昨年、酒米の山田錦を水田で栽培。学生たちも田植えを手伝った。
完成した酒は「純米吟醸 北船路」。やや辛口で穏やかな香りがあり、飲みやすく仕上げた。研究会は酒瓶のラベル作りも担当。琵琶湖から昇る朝日のイラストを描いた。
研究会副代表で地酒作りプロジェクト担当の4年?井(つるい)志帆さん(21)は「北船路でおいしい米や野菜を作っていることを多くの人に知ってほしい」と話す。
平井商店はこのほど「北船路」の販売を始め、今後も生産を続ける。平井八兵衞社長(61)は「学生は一生懸命取り組んでくれた。これからも知恵を貸してほしい」と期待する。同農事組合法人役員の吹野藤代次さん(55)は「地元の酒ができて喜んでいる。村おこしへの刺激や地域の自慢にもなる」と歓迎する。
「北船路」は一升瓶が3304円。問い合わせは平井商店TEL077(522)1277。 |