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滋賀・高島で国内初の「双環」銅剣鋳型出土 上御殿遺跡
2013年8月8日
 滋賀県文化財保護協会は8日、高島市安曇川町三尾里の上御殿遺跡で、弥生時代中期から古墳時代前期(紀元前350〜紀元後300年ごろ)に作られた、柄の頭部にリング状の装飾(環(わ))が二つ施された青銅製の短剣「双環柄頭(そうかんつかがしら)短剣」の石製の鋳型が出土したと発表した。中国北方で見られる春秋戦国時代(前770〜前221年)の「オルドス式短剣」に類似する。国内で見つかったのは初めてで、朝鮮半島でも確認されていない。

 銅剣は弥生時代に、朝鮮半島から九州北部を通って近畿に伝わったとされる。調査に当たった同協会の中村健二副主幹は「銅剣が国内へ伝わるルートが、朝鮮半島から九州地方経由とは別に存在した可能性を初めて示し、古代青銅器文化の研究に新たな一石を投じる発見」としている。

 鋳型は上下2枚出土し、ともに長さ約29・5センチ、幅8・8センチ。剣(全長28・5センチ、剣身20・4センチ)が彫られた面を合わせた状態で見つかった。石材は、海や湖の堆積泥が固まったシルト岩で、九州や朝鮮半島で鋳型に使われた例はないという。

 柄の部分は上が7・9センチ、下が8・3センチと長さが違い、実際に鋳造された痕跡もなく、未完成か失敗品の可能性もある。実戦用ではなく、祭祀用とみられる。

 弥生時代の日本や朝鮮半島の銅剣は、柄や剣身を別々に鋳造し、剣身に抉(えぐ)りや突起があるという特徴を持つが、今回の鋳型に彫り込まれた短剣は、柄と剣身が一体で柄頭に双環を持ち、凹凸のない直刃という、中国北方のオルドス式短剣の特徴があった。一方で、オルドス式にある鍔(つば)がなく、柄には、日本の銅鐸や中国・朝鮮半島の銅鏡にも見られる斜線や三角形を組み合わせた「綾杉」などの文様が刻まれており、同協会では、オルドス式をモデルに他の要素を加えて国内で製造したと推測する。現地説明会を11日午前10時半と午後1時半からの2回行う。県文化財保護協会TEL077(548)9780。

<上御殿遺跡>縄文時代中期末(約4千年前)から室町時代(15世紀)までの遺構が重なる遺跡。これまでに約1万7千平方メートルが調査された。川跡で水辺の祭りで使われたとみられる類例のない墨書人名土器や、厄よけに使われる人形代などが出土し、「水の聖地」だったとの見方が出ている。
京都新聞


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