滋賀県高島市安曇川町の染色家、山本玄匠さん(72)がこのほど、自身が属する国連NGO「世界平和女性連合」(WFWP)がギリシャで開いた第15回中東女性会議「紛争と復興の中の女性たち」に出席。ファッションを通じた癒やしと、技術支援をアピールした。
山本さんは化学の知識と経験を生かし、茶系色が主体だった「柿渋染め」に、青や紫、赤など鮮やかな色彩を取り入れている。
働きづめだった2002年に脳卒中で左手足が不自由になり、「仕事だけではだめだ」とNGOに参加。途上国の研修生を毎年受け入れる。手描きの芸術性も追究し、海外での販売や新作発表会にも携わるようになった。
ギリシャの会議は5月24日から27日まで、中東各国や日本の政府やNGO関係者約500人が、女性の権利向上を話し合った。
山本さんは、スカーフやTシャツなど20点を会場に並べた。スピーチで「作品づくりの楽しみ、夢を世界に広げたい」と訴え、参加国からの研修生受け入れも表明した。
会議は、宗教や紛争に絡んで険悪な雰囲気もあったが、山本さんは「スカーフを巻いて一緒に写真を撮ると、笑顔が広がった」という。「心の平和にファッションが役立てばありがたい。公害のない自然素材の染めを途上国の女性に伝えたい」と話す。 |