元野宿者の男性たちが琵琶湖固有種のホンモロコを養殖し、成魚を売って給与を得る事業が今月から高島市マキノ町で始まった。京都、滋賀で野宿者の自立を支援するNPO法人(特定非営利活動法人)が地元漁業組合と協力して行う。ホンモロコは一部を琵琶湖に放流し、滋賀県レッドデータブック絶滅危機増大種の復活も試みる。
主宰はNPO法人「グローバルヒューマン」。トヨタ財団の助成金150万円を原資に始めた。
海津漁業組合(高島市)から養魚施設を5年間借り、ふ化や養殖の指導を受け、稚魚の提供も受ける。初年度は稚魚約15万匹を育て、半年後に成魚を漁協などを通じて販売。売り上げのうち、約200万円を日当に充てる。5センチ未満の魚は琵琶湖に戻し、生態系の回復に努めるという。
NPO法人の野宿者支援施設(大津市)に住む男性たちが、養殖が本格化する5月以降、2−3日に1度、現地を訪れて餌やりや清掃管理を行う。3月下旬には、借り受けた6つの養魚池(約2100平方メートル)を掃除し、準備を整えた。
高橋英夫理事長(61)は「地場食材として親しまれた湖国の固有種を取り戻すことにもなる。野宿者や漁業の支援も合わせた一石三鳥のコミュニティービジネスとして取り組みを続けたい」と話す。 |