「極めてハードルは高いが、挑戦することに価値がある」−。滋賀県の嘉田由紀子知事は4日の定例記者会見で、湖国の価値や魅力を国際的にアピールしたいとして、琵琶湖の世界遺産登録を目指すことを表明した。ただ、湖岸の開発が進んでいることから県庁内からも「かなり厳しい」と疑問視する声が出るなど、実現性は不透明だ。
会見で嘉田知事は「自然的、文化的価値を発見し、伝える努力が必要。琵琶湖と水の文化にどういう理解が生まれるかという運動であり、市町や住民にも協働で知恵を出していただくプロセスが大事」と強調した。
さらに、外部識者も交えた準備チームを早期に県庁内に設置する構想を示し、世界遺産のうち自然遺産か文化遺産か、2つを併せ持つ複合遺産かも検討し、1期目の任期中に見通しを立てる意向も明らかにした。
しかし、琵琶湖岸はコンクリート護岸や高層マンションが建つなど、人の活動で自然に大きく手が入っている。環境省は「一般論でいえば、世界唯一で、保存も良好でないと難しい」と話す。
「流域に多くの人たちが住んでいる現状で、開発や自由な土地利用に対する規制をかけられるのか」(県幹部)との指摘も出ており、嘉田知事の年初の決意も、はや難航気味だ。 |