パリコレクションでデザイナー三宅一生の婦人服の服地に採用されたことでも知られる滋賀県高島市安曇川町在住の「柿渋手描き染め」の染織家山本玄匠(げんしょう)さん(68)が、これまでの販売会社を通じての流通をやめ、自身の山本工房から「玄匠ブランド」として、婦人服や洋服、シャツ、ジーンズ、のれんなどの販売を始めた。11月3、4の両日に同市今津町今津の「米澤邸」で「四季に想う」と題して作品約200点を展示する。
山本さんは「来年2月からはパリ、5月からは北京でも販売を始める準備を進めている。ヨーロッパでブランド発表会を開きたい」と意気込んでいる。
山本さんは、京都市内などの染織会社でデザインや染色に取り組み、60歳で独立して工房を立ち上げた。経験を生かし柿渋手描き染めによって、青や紫、赤、緑などの色を出せる独自の技術を開発、注目を集めた。
2002年に脳卒中で左手足が不自由になったが、ハンディキャップを「障害のおかげで、今が最高に幸せ」と力に変え、聴く人を勇気づける講演会の開催や福祉活動にもかかわっている。作品づくりに妥協は許さず「人まねの作品は一切作らない」「心を癒やす作品じゃないとだめ」と話す。 |