約30年前まで大津市北小松の漁師らが地引き網漁をする時に歌っていた「ロクロ節」が1日、北小松水泳場で開かれた地引き網の体験イベントで再現された。地元の地唄保存会のメンバーらが民謡調のゆっくりとした歌を湖岸一帯に響かせ、参加した親子らが歌に合わせて網を引いた。
ロクロ節は漁師らが使っていた木製の網の巻き取り機「ロクロ」にちなみ、網を引く調子を合わせるために歌われていた。だが、ホンモロコなどの魚が捕れなくなり、地引き網漁が廃れたため、ロクロ節も歌われなくなったという。
この日は、北小松地唄保存会員や元漁師ら8人が、手拍子を打ち、「ソーラヨイヨイ」と合いの手を入れながら、「比良や小松の磯浜がよいつまが濡れます打つ波で」「足が揃うたかロクロが軽いよ後に戻すな後引きよ」など七五調で、約20分歌い続けた。
参加した市民ら約350人は4列になり、長さ約300メートルの大きな網をゆっくりと引いた。ヘラブナやコイも揚がったが、大半はブラックバスだった。
元漁師の白井元次郎さん(80)は「昔ほど声は出なかったが、ホンモロコなどが捕れた当時を思い出しながら歌った」と話していた。 |