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「魚道」上りアユ帰る 大津・喜撰川
2007年8月30日
 市民団体「びわ湖自然環境ネットワーク」(寺川庄蔵代表)が、大津市和邇中浜の喜撰川下流に設置した箱型魚道で今夏、琵琶湖のアユが次々と遡上(そじょう)している。河川改修で人工的な段差が設けられて以降、アユの遡上は見られなくなっていたが、3年がかりで魚道を改良した。関係者は「アユが上る川に戻すことが夢だった。どこにでもある川なのに、魚道1つでアユが上る川に変わった」と喜んでいる。

 同会は7月上旬、これまでアユを見かけなかった魚道の上流で初めて体長約10センチのアユ4匹を捕獲し、これまでに500匹以上を確認した。魚道は、喜撰川河口部から約400メートル上流の落差工と呼ばれる段差(幅8メートル、落差1・3メートル)の端に設置した。スギとヒノキの間伐材を使った木箱(横0・8メートル、縦1メートル)を階段状に7個積み上げ、落差約20センチの水流に向かって魚が上る構造だ。治水面に配慮し、木材がばらけやすい構造になっている。

 市民団体が河川に魚道を設置するケースは珍しいという。同会は2005年5月に県の占用許可を得て設置したが、魚はまったく遡上せず、木箱に敷いた砂の重みで底が抜ける失敗もあった。

 今年3月から6月にかけ、段差と水流の間にできる空気層をなくすため滑り台をつけたり、川の中心部に向けていた魚道の入り口を流れと平行に付け替えるなど構造を見直したところ、アユが遡上するようになった。

 箱型魚道の上流には県が設置したコンクリート製の魚道もあり、アユは琵琶湖から1キロ以上離れた場所で泳いでいる。

 寺川代表は「魚が生息域を広げれば、漁業資源や川の生態系の回復にもつながる。住民が川に関心を持つきっかけにもなる」と話している。
京都新聞


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