滋賀県高島市朽木市場の、旧朽木藩の御用商人を務めていた家から、幕末期の藩札の一種「炭札(すみふだ)」を刷った版木がこのほど見つかった。
版木はケヤキ製。縦14センチ横45センチで、炭札2種類の裏表分計4枚。1種類は縦11・6センチ横3・5センチの炭札11枚分、もう1種類は横2・9センチのもの13枚分が1度に刷れるようになっている。
高島市教委朽木村史編さん室の石田敏さんらが、藩の御用商人の1人木屋助右衞門の旧宅を調査中に発見。杉の箱に文久3(1863)年12月と書かれ、版木とはけが入っていた。
石田さんは以前、福井県小浜市内の骨董(こっとう)品店で炭札を見つけカラーコピーしていたが、これを刷ったものと判明した。表面用の版木には炭の等級、量、値段と札元(発行人)を務めた御用商人の木屋、狛屋仁右衞門、狛屋伊右衞門の3人の名が刻まれ、裏面用は目付(藩役人)の裏書を刻んでいる。
山里の朽木地域では、長く木炭づくりが盛んだった。炭札は藩の役所だった朽木陣屋内で、藩役人が農家から炭を受け取り、代わりに渡したとみられる。領内で日用品の購入に使えたが、炭札そのものはほとんど見つかっておらず、どの程度流通していたかは不明という。
|