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祖先の性質残す? 琵琶湖 春夏遡上ビワマス群
2007年2月12日
 琵琶湖の固有種で、秋に産卵のため川を上るビワマスのなかで、例外的に春から夏にかけてさかのぼる「早期遡上(そじょう)」の一群がいることが、滋賀県立琵琶湖博物館の学芸員の調査で分かった。進化の過程で古い性質を残しているとみられるという。5月に学会誌に論文発表する。

 ■県博物館員 遺伝子から確認

 桑原雅之専門学芸員(魚類学)が調べた。これまでにも春から夏にかけてビワマスのような魚が川で捕れることは文献などで分かっていたが、正体は不明だった。桑原専門学芸員は、ビワマスの仲間のサツキマスが通常、春に海から川に上ることから、放流アマゴが成長したサツキマスではないかと当初、考えた。

 そこで漁師を通じて姉川や愛知川で捕れた14匹を集め、遺伝子を調べた。結果は、2匹がサツキマス、ほかはビワマスだったことが判明した。

 桑原専門学芸員によると、サツキマスが春にさかのぼる理由として、腹の卵が小さいうちに海水から淡水向けに体をつくり変え、川で再び蓄えたエネルギーを卵の成長に使うため、と考えられるという。

 サツキマスと共通の祖先を持つとみられるビワマスも、かつては春に川に上っていたが、琵琶湖では体をつくり変える必要がないため、えさが豊富な湖に産卵直前までとどまるよう進化した−というのが仮説だ。

 桑原専門学芸員は「早期遡上群はこれまで想定外で、調査の対象にすらならなかった。突然の自然環境の激変があってもビワマスが絶滅しないよう、多様なタイプを残すことが必要だ」と話している。
京都新聞


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