日吉大社(大津市)の山王祭で、供え物を膳所地域の粟津浜から唐崎神社沖まで運ぶ神事「粟津御供(あわづのごく)」が14日、同神社沖の琵琶湖上で営まれた。
これまで供え物は同神社まで車で運んでいたが、半世紀ぶりに湖上の船輸送に切り替え、古式にのっとた伝統が復活した。
本祭の日に営まれる粟津御供は、唐崎神社沖の台船に据えた7基のみこしに、膳所地域の5つの神社が輪番で粟飯やタイなどを供える神事。船のこぎ手が減ったことなどから、1951年から供え物を車で運んでいた。
しかし、各神社の氏子から「古式にのっとり、船で運ぶのが望ましい」との声が上がり、観光船「一番丸」を使って、55年ぶりに湖上輸送を復活させた。
供え物を乗せた一番丸は午後3時ごろに膳所港を出発し、約1時間後に唐崎神社の沖合約100メートル沖の台船に着いた。船上で神事が営まれ、供え物をみこしに献上した。日吉大社責任役員の関平治郎さん(61)は「船輸送が復活し、感無量。来年も続けたい」と話していた。山王祭は、15日に日吉大社で営まれる酉(とり)の神事で終わる。 |