高島の「田んぼ池」で大量繁殖 琵琶湖固有種のスジシマドジョウ
2005年11月8日
 環境省が絶滅危惧(きぐ)種に指定している琵琶湖固有種のスジシマドジョウが今年夏、滋賀県高島市の湖岸近くで大量に繁殖していたことが、地元住民グループの調査で分かった。6月下旬から8月中旬にかけて、休耕田に水を張った「田んぼ池」で、小型種の琵琶湖型と大型種を合わせて計636匹が確認された。関係者は「スジシマドジョウが、これほどまとまった数で発見されることは珍しい」と驚いている。

 地元農家などでつくる「高島地域みずすまし推進協議会」(松見茂会長)が4月、琵琶湖に近い休耕田に溝を掘り、水路の水を引き込んで「田んぼ池」を造った。琵琶湖の魚が遡上(そじょう)できるように、水路をせきで仕切って水かさを上げ、水田と水路の落差をなくす工夫もした。数日後には、産卵場所を求めてギンブナやナマズが遡上する姿が確認された。

 同協議会が水路に戻る稚魚を調べるため、産卵期の6月下旬から「田んぼ池」の排水口に箱網を仕掛けたところ、体長約2センチのスジシマドジョウの未成魚や体長5センチを超す成魚が、ギンブナやナマズの稚魚に交じって見つかった。7月上旬には毎日発見され、1日で300匹以上確認されることもあったという。

 スジシマドジョウは水田や水路に産卵する習性があり、ほ場整備や水路のコンクリート化に伴って激減したとされる。琵琶湖博物館うおの会が1997−2003年に、県内の河川や水路など約2800カ所で実施した調査では、大型種は20カ所で46匹、小型種は4カ所で30匹しか確認されていない。

 琵琶湖博物館の前畑政善・総括学芸員は「水田に上れるようにする試みが、スジシマドジョウをはじめ、多くの魚の保全に有効であることが実証された。繁殖場所を復活させなければ、いずれ絶滅する。田んぼ池は貴重な繁殖地」と評価する。

 高島地域みずすまし推進協議会の上原和男副会長は「思いがけない成果。今から始めても琵琶湖岸で魚の生息場所を取り戻すことが可能であることが分かった」と話し、来年も同様の取り組みを続けるという。
京都新聞


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