町おこし:7・5トンの石造り水車、石材業・中村久さん製作
2005年2月18日
 石造りで直径が2・66メートルもある大型の精巧な水車を高島市鴨の石材業、中村石材=中村久社長(60)=がほぼ1年がかりで完成させた。水を受けると勢いよく回転する本格的なもの。流水で実際に回転する石造りの水車は例がないといい、近年増えている水車を使った町おこしに役立つと期待されている。

 中村さんは石材と照明を組み合わせたアート作品など“遊び心”いっぱいの石の作品を数多く手がけてきた。石造りの水車は庭園の置物として作られるが、水で回転するものは中村さんも見たことがないといい、「日本にはないものを」と、これまで小型の石造り回転水車を5基製作。その成果を踏まえ、昨年春から大型にとりかかった。

 完成した水車の本体は、外輪(直径2・66メートル)と中心の車軸部分(直径60センチ)を左右各8本の太い石柱(長さ94センチ)でつなぎ、外輪には水を受ける石の板16枚(幅25・5センチ)がはめ込んである。車軸の中心に通した鉄製の心棒(直径8センチ)を両側の支柱(高さ1・64メートル)に架け、全体が回転する仕組み。心棒以外はすべてみかげ石を使っている。土台からの高さは3・52メートル。

 上から水を注ぐ掛樋もみかげ石製で高さ3・94メートル。掛樋から少量の水を注ぐだけで本体が回転し始める。水車本体と掛樋の総重量は土台を含め7・5トンもある。

 支柱などをはめ込む穴の位置は、寸分の狂いもないようコンピューターを使って図面を描いたという。組み立ては同社工場の天井クレーンでつり上げ、そろりそろりと進めた。春ごろには旧高島町中心部の町おこし施設「びれっじ」に移設、観光に一役買う予定。

 大型水車は水の落下でマイナスイオンが発生し、水音が心地よいなど癒やし効果が高いという。中村さんは「木製の水車は寿命が短いが、石造りだと200年は大丈夫。町おこしのお役に立てたらうれしい。次はもっと大きいものに挑戦したい」と意欲を燃やしている。移設までは同社工場内での見学も可能。問い合わせは同社(0740・36・1481)。
毎日新聞


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