161年間の稲作記録まとめた史料集 今津町教委が発刊
2004年12月19日
 滋賀県今津町は、町内の農家に保存されていた1776(安永5)年から161年間の稲作を記録する古文書の調査研究をまとめた町史史料集「たねかし覚(おぼえ)・かりまき覚(おぼえ)」を発刊した。同町出身の民俗学者の遺稿を基に編さん。記録は全国でも珍しいほど長期間に及んでおり、江戸中期以降の稲作の歴史を知る貴重な資料になっている。

 遺稿を残したのは同町史編さん委員会顧問を務めた故橋本鉄男さん=安曇川町北船木=。町史編さんの過程で、同町角川の清水家に伝えられてきた稲作の作付け品種や数量と、品種ごとの収量などを詳細に記録した2冊の古文書を翻訳した。原稿を執筆して事務局の同町教委に託したあと、1996年10月に79歳で亡くなった。

 町教委は原稿量が多かったため町史への掲載を断念し、史料集として発刊することにした。

 A5判の210ページで、時系列で上段に作付け、下段に収穫を並列して掲載している。農閑期の年明けから種もみの準備を始めていることや、全国的に大飢きんだった1836(天保7)年には収穫が半減、稲作以外にも大豆や小豆などの収穫も記載している。

 近江の在来米を研究する小川正巳さん(63)=京都市下京区=は「今は絶えた品種が多数登場して興味深い。特定品種のもち米を長期間栽培する一方で、新品種も4、5年ごとに植えて試すなど苦労と工夫がうかがえる。それをまとめた史料集も稲作を知る貴重な資料」としている。
京都新聞


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