昭和30年代、安曇川の生活史屏風 滋賀県立大生ら聞き取り描く
2003年8月22日
 滋賀県安曇川町で、県立大(同県彦根市)の学生らが、昭和30年代のまちの様子を聞き取り、絵屏風の作製に取り組んでいる。お年寄りらに当時の様子をインタビュー、絵で表現して視覚に訴えながら生活史を残す調査の一環。お年寄りたちは「洛中洛外図の地域版」の完成に期待している。

 県立大大学院人間文化研究科の上田洋平さん(27)ら10人と地域住民で、町教委の委託を受けて進めている。地域独自の生活様式が残っていたころの生活を探ることで、地域文化の豊かさを実感し、子供たちに伝えるのが目的。学生らは印象を絵で表現する「心象図法」と呼ばれる手法で取り組んでいる。

 絵屏風は、65歳以上のお年寄りから聞き取り調査した結果を、和紙(縦約1メートル、横約1・8メートル)に描いている。

 地区の様子や住民の体験などで、商業や農業が盛んだった西万木(ゆるぎ)と、琵琶湖の内湖を中心に、漁業と農業が盛んだった今在家の2地区で取り組んでいる。学生らはこれまでに、下絵を住民に示し、「橋の形が違う」とか、「湖岸をもっと強調して描いてほしい」などの注文を受けたという。完成後は、公民館などに保管、地域の特徴が一目で分かるよう工夫する予定。

 一方、県湖西地域振興局も本年度から、同様の事業を始めており、高島郡6町村の各一地区の絵屏風の作製を進めている。

 上田さんは「生活史は意外に残っていない。協力していただいたみなさんの記憶をたどり、地域独自の生活様式が残すことができれば」と話している。
京都新聞


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