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246色の感性満開 成安造形大の卒業・進級制作展
2014年1月30日
 滋賀県内唯一の芸術系大学、成安造形大(大津市仰木の里東4丁目)の卒業制作展・進級制作展「成安満開」が29日、京都市左京区の京都市美術館で始まった。洋画やイラスト、グラフィックデザインなど13コースの3、4年生計246人が個性豊かな作品を出展している。おもちゃ箱のようにバラエティーに富んだ会場を回ってみた。

 ◇…古びたバス停を描いた味わい深いスケッチが並ぶ。総合領域4年の吉田史津佳さん(22)は昨夏、大学周辺を散策している時に「平尾バス停」に出合い、昔ながらの建物にひかれたという。

 以来、仰木地区と自宅のある高島市マキノ町を歩き回ってバス停やその周辺の風景をスケッチし、45点を冊子にまとめた。うち10点の原画を展示。ペンと墨でレトロな雰囲気を表現している。「古びたトタン屋根が残っていたり、電柱の陰に隠れていたりと、田舎のバス停には昭和の名残を感じて、面白いと思った」と吉田さん。

 ◇…縦約1・8メートル、横約3・9メートルの大画面に、黒や金で抽象と具象の間のような不思議なモチーフが描かれている。日本画コース4年の宮城幸佑さん(22)の大作「女体出産」だ。「人が生まれる時のエネルギーを形にしてみたいと思った」。よく見ると、胎児のような形や女性の頭や足も描かれている。

 和紙ではなく、トイレットペーパーを重ねて張り付けた上に日本画の岩絵の具で描くことで、凹凸のある質感が生まれている。「出産のリアルな空気感を伝えるために、ひずみの出る素材を使った。根本的な感情を揺さぶるような絵を描きたい」と話す。

 ◇…現代アートコースの展示では、大小数百個の段ボールで作られた巨大な壁が目を引く。空間を埋めるダイナミックさに圧倒されると同時に、一個一個の段ボールの商品名が、食品や日用雑貨などさまざまな物によって私たちの生活が成り立っていることに気付かせてくれる。

 大量のインスタント写真を床に並べた作品も。会場の放射線量をガイガーカウンターで測定し、その数値を撮影した写真だという。福島第1原発事故を受けて、「放射線とは何か、私たちは核とどう向き合うのか」を問いかける作品だ。

 同展は2月2日まで。また、3年生の進級制作展の一部を2月19〜23日、大津市歴史博物館(同市御陵町)で開催。2月20日午後2時と午後6時には、京都文化博物館(京都市中京区)でファッションショーがある。
京都新聞


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